■王とメイドの切ない恋物語■
部屋まで、もうあと2、3メートル・・


というところまで来た時に、向こうから誰か歩いてきた。


お城の人が横を通るときは頭を下げるのが鉄則なので、私は、その場に立ち止まり、頭を下げた。


最初は戸惑っていたが、もうここにきて、2週間。


すっかり慣れ、自然と頭を下げた。


いつものように足音が近づいて、通り過ぎるのを待っていたら、私の前で、足音は止まった。


「リリア?」

名前を呼ばれて、私は顔をあげた。


「トーマ様…?」


そこに立っているのは、トーマ様だった。

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