■王とメイドの切ない恋物語■
私は深呼吸して、会場の扉を開いた。



私が一歩、中に入ると、会場内が静まり返った。

みんなが、私を見る。

え?私、変かな?

ちょっと不安になる。



チチリさんと、ジュリアが駆け寄ってきた。

「リリア、すごい綺麗!」

「良く似合ってる!素敵だよー、リリア!」



「本当?」

私は、ドキドキしながら尋ねてみた。

「本当よー。私が男だったら、メロメロよ。リリア、本当に素敵だよ」

チチリさんが私の肩を叩き、ジュリアが、隣でうなづいている。



ふと見ると、エリックも近づいてきた。

「おい、おい。この可愛さは反則だぜ。見ろよ、王のあの顔を」

エリックが笑った。



トーマ様は、私を見て、かなり驚いた顔をしている。

「さぁ、早く、そばに行ってやれよ」

「そうそう。トーマ様、待ってるよ」




「うん、行ってくる」

私はトーマ様に、一歩、一歩、近づいた。



みんなが笑顔で、

「綺麗よ」

「見違えたよ」

と、温かい言葉をかけてくれる。


ありがとう、みんな。



私は、トーマ様の隣に立った。


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