■王とメイドの切ない恋物語■
「いえ、特に眠くありませんし、用事もございません。何かご用ですか?」


夜食とか持ってきてほしいのかな。


トーマ様は、まっすぐな眼差しで私を見つめた。


「リリアも明日早いだろうから、30分だけでいい。付き合ってくれないか?」


トーマ様みたいな、かっこいい人に見つめられると、とろけそうになる。

断る理由もない。全くない。


むしろ、うれしい。


「かしこまりました。何をいたしましょうか?」

「では、ついておいで」


トーマ様に、導かれるようにして階段を上った。


そして、着いたところは屋上だった。


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