■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様に導かれて進むと、遠くにポツポツ小さな光が見えた。


夜景なんて、生まれて初めて見る。

「きれい…夜景、初めて見ました」

「喜んでもらえて良かったよ」


トーマ様が、優しい笑顔が見ることが、すごく嬉しい。

「さぁ、ここに座って」

暗くてよく見えないが、お洒落な感じの白いテーブルと椅子があった。


トーマ様と私は、向かい合わせで座った。


上を見上げると、無数の星が輝いていた。

「考え事をしたいとき、リラックスしたい時、よくここに来るんだ」

トーマ様は、星を見ながら話した。


「そうなんですね。今日も考え事していらっしゃるんでしたよね?私、お邪魔じゃないですか?」


私は、恐縮して言った。


トーマ様は、優しい表情で、こっちを向き、

「今日は1人でいたくない気分だったんだ。迷惑だったか?」

トーマ様が、私を見つめる。私は慌てて、

「とんでもございません。私でよければ、いつでもお供いたします」


トーマ様は、ありがとう と笑い、また星を見上げた。


トーマ様も、一人でいたくない時があるんだ。


いつもは、堂々としてて、そんな雰囲気は、少しも感じないけれど。

トーマ様のようなかっこいい人に、少しだけでいいから、そばにいてくれ、なんて言われたら、断る人なんていないだろう。


私は、そんなことを考えながら、星を見上げるトーマ様を見つめていた。


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