■王とメイドの切ない恋物語■
午後は、この前パーティーで使った大広間の掃除だ。


これだけ部屋がたくさんあると、掃除のやりがいがある。

部屋に入ると、チチリさんもここの担当みたいで、掃除に、一生懸命とりかかっていた。


「あ、リリア。リリアもここの担当だったんだ」

そう言いながら、チチリさんが近づいてきた。そして耳元で


「昨日、私の部屋にガウン忘れたでしょう?私、あとから届けに行ったんだけど、いなかったよね?」

私は、どきっとした。チチリさんは、ほうーと笑い、


「その顔は、さては、なんかあったな?後で私の部屋に来なさい。先輩の命令であーる」

と、言いニヤニヤしながら掃除に戻っていった。

しまった。なんで、こんなに顔に出やすいんだろう。



私は情けない気分で、掃除にとりかかった。

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