■王とメイドの切ない恋物語■
ベッドから起きて伸びをする。

思ったよりも、早く起きてしまったようだ。

私は身支度を整えると、散歩することにした。

乗合の馬車の時間まで、あと3時間ある。

ふと、前にトーマ様と一緒に行った、屋上を思い出し、行ってみることにした。


階段を上ると、一緒に上った、思い出がよみがえる気がした。そして、屋上への扉を開いた。

屋上は夜とは、また違った景色に見えた。


朝焼けが、とても綺麗で、この前座った、白い椅子の周りには、色々な花を植えたプランターが、置いてあった。

私は手すりによりかかるようにし、朝の新鮮な空気を、いっぱい吸った。

朝は、本当に気持ちがいいな。

ここから、エリックの庭もよく見えた。実家から帰ったら、少し時間あるし、また庭園に遊びに行ってみようかな。

あそこは、花がたくさん咲いていて、本当に素敵だもの。


私は、うーんと伸びをして、前に来たとき、トーマ様が座っていた椅子に腰掛けた。


トーマ様は、いつもここに座って、この素晴らしい景色を見ているのかな…。

私は、ぼんやり、その景色を見つめた。



「そこは、私の特等席なんだがな」


聞き覚えのある声に、驚いて振り向いた。

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