■王とメイドの切ない恋物語■

幼き頃

ようやく馬車が村に着いた頃には、お昼を回っていた。

直通便が無いため、どうしても乗り継ぎとかで、大分時間がかかってしまう。

私は、家へと急いだ。

「ただいま」

「おねーちゃん、おかえりーっ」

私が帰るのを、心待ちにしていたのか、三人の妹達が、走って飛び付いてきた。

可愛いなぁ。本当に可愛い。

「みんな、いい子にしてたー?」

私は、みんなの頭をナデナデした。


「いい子にしてたよーっ。おねーちゃんの分まで、いっぱい、お手伝いがんばったんだから」

末っ子のミーシャが、得意そうに言った。

「そうなの、がんばったね」


と、妹達と話していると、奥の台所から、お母さんが出てきた。


「おかえり、リリア。疲れたでしょう?自分の部屋に荷物を置いてきなさい。お茶にしましょう」

私の頭を優しくナデナデしてくれ、私は内心うれしくて頬を染めた。

この、私が頭をナデナデする癖って、母親ゆずりかな。

頭撫でてもらうと、気持ちいいもんね。

「はーい、荷物置いてくるね」

久しぶりの実家は、やっぱり居心地が良かった。


帰ってきたって感じがする。私は、お茶を飲みながら、みんなに、お城の様子を話した。

あ、もちろんトーマ様のことは、内緒だけどね。

だいぶ話した所で、お母さんが、奥のから手紙を持ってきた。

「はいこれ。いつもの子から手紙が来てたわよ」



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