■王とメイドの切ない恋物語■
庭園に着き、エリックを探して、歩き回った。

向こうの、ガーベラがたくさん咲いている所に、エリックはいた。

ホースを片手に、花に水をあげているみたいだった。

水しぶきがキラキラして、とても綺麗だ。


花の、いい香りもしてくる。


「エリックっ」


エリックが私の声に気が付き、振り向いた。

「あ、リリア!ちょうど、この花に水をあげたら、お昼休憩の予定だったんだ。あっちのベンチで、少し待ってて」


「はーい」

私は返事をすると、噴水の隣の白いベンチに腰掛けた。




きれいに咲いた花を眺めながら、ぼーっとしていると


「ごめん、ごめん。待たせたね」

と言いながらエリックがお弁当を持ってベンチにやってきた。

にこっと笑った顔は、とてもさわやかで、腕まくりした腕は、キラキラした水しぶきが、ついたままだ。

エリックは私の隣で、お弁当を食べはじめた。


「ごめんな、俺だけ食べて。リリアも食べる?」

エリックは、そう言いながら、少し首を、傾けた。

可愛い。

「ありがとう、大丈夫だよ。バスの中でサンドイッチ食べてきたから」

そう言うと、

「そっか」

エリックは笑い、またお弁当を食べはじめた。
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