■王とメイドの切ない恋物語■
私はソファーに、座った。


向かい側のソファーに、トーマ様が座る。

テーブルを挟んで、すぐそこに、トーマ様がいる状態だ。

私は恥ずかしさのあまり、真っ赤になって、うつむいた。


「ん?どうした、リリア。さぁ、せっかくだから一緒にクッキーを食べよう」

そう言うと、トーマ様は笑った。


この笑顔が好き。大好き。


心がほんわか温かくなる。


「はい、ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」


ふと、テーブルを見ると、お茶の準備がしてあった。


トーマ様は、最初から私と、クッキーを食べるつもりだったんだ。


だから、あの廊下で会った時クッキーを受け取らず、会議が終わったら、来るように言ったんだ。

うれしいよ。すごくうれしい。


トーマ様が、一緒に食べようって、思ってくれていたなんて。

私は幸せを噛み締めながら、紅茶を一口飲んだ。


トーマ様は、クッキーを1つつまんで、口に持っていく。



サクッ


小さく、香ばしい音が鳴った。


どうかな?お口に合うかな?


私は部屋に来た時より更に緊張した顔でトーマ様を見つめた。


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