■王とメイドの切ない恋物語■
その日から、エリザベス姫はトーマ様にべったりで、いつもトーマ様の近くにいた。


エリザベス姫の、

「トーマ様~、トーマ様~」

という、甘える声を聞くのも、なんか辛い。


トーマ様のことが気になっている私としては、本当に胸が苦しかった。

トーマ様は、やっぱりかわいい姫に甘えられて、うれしいのかな?



エリザベス姫が、いつものように小首をかしげながら、トーマ様に近寄っていった。

「トーマ様、この後のご予定何かありますか?よろしければ、庭を散歩いたしませんか?わたくし、あのきれいな花々をトーマ様と見に行きたいわ」

エリザベス姫は、トーマ様をうっとりと見上げている。

おぉぉ。その上目使いは反則だよ。

トーマ様、誘惑されないで

私は祈るような気持ちで、トーマ様を見た。


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