■王とメイドの切ない恋物語■

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私は、沈んだ気持ちのまま、次の日をむかえた。

今日は遅番で、仕事は昼からだ。

いつまでも落ち込んでいられない。

気分転換のため、庭園に行くことにした。


やっぱりここは落ち着くわ。

きれいに咲いている、ひまわりを見ながらそう思った。


「やぁ!リリア」


エリックが手を振りながら、こっちにやってきた。

「おはよう、エリック。今日は遅番だから、午前中、ここで花達を見てていいかな?」

「もちろん!」

エリックは、にこっと笑いかけてくれた。

この前のこともあるし、なんだか照れ臭かったけど、やっぱりここが好き。

花を見ていると、心が落ち着く。

私は、いつものように、噴水の隣の白いベンチに座って、近くのバラを見つめていた。


トーマ様…

ほんの少しでいいんです。

私のこと、思ってくれませんか?

たった1日でいいんです。

両思いにはなれませんか?


そんなことを考えていて、現実との、あまりの違いに本当に切なくて、辛くて私は、テーブルにうつぶせていた。


ふと、頬にひんやりとした感触がし、私は、びっくりして顔をあげた。


そこには、さっきまでどこかに行ってた、エリックが、赤いリンゴくらいの実を持って立っていた。


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