■王とメイドの切ない恋物語■
エリックが、その赤い実を私に、ぽーんと投げた。


私はあわてて、キャッチした。

「ありがとう、エリック」


エリックは笑顔で頷き、私の隣に座った。

遠くから小鳥のさえずりが聞こえる。

私は、赤い実の皮を丁寧にむき、一口食べた。



シャリっ



さわやかな酸味と、ほのかな甘さが絶妙で、すごくおいしい。

「おいしいっ この果物、すごくおいしいね」

「だろ?俺が市場で見つけてきた木の果実なんだ。
疲れた時とか、元気がないときにオススメ」

そう言って、エリックはこっちを見た。



やだ 落ち込んでるの顔に出てたかな


「リリア、なんかあった?」

うっ やっぱりばれてる…

「なっ なにもないよー」

エリックは、近づいてきて、じーっと私を見つめる。


ち ちかい…


男の人に、近距離で見つめられるのに慣れていない。

私は恥ずかしくなって、うつむいた。



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