■王とメイドの切ない恋物語■
エリックは私の話を聞いた後、しばらく考えてから、話しはじめた。

「まず、リリアが好きな人が、他の人を好きかもしれないんだよな?」

「うん」

「でも、それはまだ確定じゃない。だったら、今できることをやってみたらどうかな?それによって何かが変わるかもしれない」

「うん」



「次に叶わぬ恋だって所だけど、その人は生きているの?」

「うん、生きてる」



「だったら、まだあきらめることはないと思う。リリアが、心をこめて思いを伝えれば、うまくいくにしろ、いかないにしろ、思いは伝わるよ。挑戦する前に、あきらめちゃ何も始まらないよ」

エリックはそう優しく言いながら、頭をなでてくれた。

自然と涙がこぼれてくる。

「うん、そうだね、エリックの言う通りだね。私は、まだ何もしていないのに、最初から無理だってあきらめてる。それじゃ何も変わらないよね。ありがとう、エリック。私、少しずつがんばってみる」


エリックと私に、笑みがこぼれた。

エリックは、優しく私の涙をぬぐってくれた。

「辛くなったらいつでも頼ってくれていいから。リリアの為なら、なんだってするから」

エリックは、まっすぐこっちを見て言った。

トーマ様に出会っていなければ、エリックに恋してたかもしれない。

本当に優しい人。


「うん、ありがとう、エリック。エリックも好きな人とうまくいくといいね」


私が、そういうと、エリックは遠くを見つめながら呟いた。

「僕の幸せは、彼女が幸せになることだから。だからがんばるよ」

そう言って、微笑んだ。

どういう意味なんだろう?

エリックも、何か辛い恋をしているのかな…

エリック…

「あ、気にしないで。まぁ、いずれわかると思うからさ!」

エリックは陽気に言うと、うーん、と伸びをした。

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