【短】太陽のため息
空っぽの、存在。
それが、俺の印象らしい。
確かに入社4年経っても尚、俺の名前をフルネームで知っている人間なんていない。
きっと、あの無駄な動きがやたらと多くて、話の長い上司だって、そうだろう…。
「はぁ…つら…」
二度目の呟きは、どんっとぶつかって来た太った中年期のサラリーマンに吹き飛ばされてしまった…。
今日こそは、何か自分なりの主張をアクションとして起こしてみたい…。
そう思うのに、毎回この口は閉ざされた貝の如く上手く開かれなかった。
本当に、何をやっても地味な会社員。
ただただ、与えられた仕事をこなし、言葉数少なく、パソコン画面を見入るだけ。
俺松木忠志は、そんないわゆる"空気"みたいな存在だった。
毎日、同じ時間に起きて、ほぼ同じメニューの朝食を食べて、温めのコーヒーを飲んだら、前日に自分でアイロンを掛けた、ワイシャツに袖を通してから、玄関の姿見を見つめて決められた時間に家を出る。
まるで、人形みたいで、面白味がないヒト…。
少し前まで奇跡的に付き合っていた彼女に、最後に言われた悲しい言葉。
それでも、何も言い返せなかったのは、それを自分が一番よくわかっているせいだった。
そんな俺に、ある日変化をくれたのは君。
最近ではほとんど見ることのない、珍しく一度も人工的な手入れをされていない黒髪を、肩の下辺りで揺らしている、…昔の絵から飛び出してきたような大和撫子系の女子校生…。
それが、俺の印象らしい。
確かに入社4年経っても尚、俺の名前をフルネームで知っている人間なんていない。
きっと、あの無駄な動きがやたらと多くて、話の長い上司だって、そうだろう…。
「はぁ…つら…」
二度目の呟きは、どんっとぶつかって来た太った中年期のサラリーマンに吹き飛ばされてしまった…。
今日こそは、何か自分なりの主張をアクションとして起こしてみたい…。
そう思うのに、毎回この口は閉ざされた貝の如く上手く開かれなかった。
本当に、何をやっても地味な会社員。
ただただ、与えられた仕事をこなし、言葉数少なく、パソコン画面を見入るだけ。
俺松木忠志は、そんないわゆる"空気"みたいな存在だった。
毎日、同じ時間に起きて、ほぼ同じメニューの朝食を食べて、温めのコーヒーを飲んだら、前日に自分でアイロンを掛けた、ワイシャツに袖を通してから、玄関の姿見を見つめて決められた時間に家を出る。
まるで、人形みたいで、面白味がないヒト…。
少し前まで奇跡的に付き合っていた彼女に、最後に言われた悲しい言葉。
それでも、何も言い返せなかったのは、それを自分が一番よくわかっているせいだった。
そんな俺に、ある日変化をくれたのは君。
最近ではほとんど見ることのない、珍しく一度も人工的な手入れをされていない黒髪を、肩の下辺りで揺らしている、…昔の絵から飛び出してきたような大和撫子系の女子校生…。