あたしはユンファ。
あたしはユンファ。

ときおりキトンが売られていたときを思い出す。
キトンというのは民族衣装につかわれる布地だ。キトンは衣服の別称でもあった。

そしてオールドルナがかつてほど工業化されていなかった頃にはキトンに刺繍をしたものだ。長い時間をかけて。

たとえばあたしが手元にもっているキトンは祖母の頃には村で刺繍がされていた。
あるいはその頃はキトンには別の意味合いもあったのかもしれない。進歩という考え方にオールドルナが染って(そまって)いなかった頃だ。
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