両極端な君と
出会い
中学最後の夏休み、私
早川蒼(はやかわあおい)は
おばあちゃん家のある田舎へと
向かっていた。
「もう、なんでよりによって中学
最後の夏に一ヶ月も、も〜。」
私は口を尖らし、助手席にいる
母を睨み付ける。
「そんな事言わないの〜、おばあちゃん
だって高校に進学したらなかなか
会えなくなるからって、夏の間だけでも
〜って言ってたんだから、文句言わないの
ー。ねぇ、パパ?」
そう突然話を振られた父は
運転席のミラー越しに気まずそうな
表情で私に笑い掛ける。
その視線を横目に私は外の景色に
目を向けた。
緑、山、川、かれこれ1時間以上
走行しているがまるで変わらない
景色とガラス越しでも伺える蜃気楼
眩しい程の太陽と、朝のアラーム音
の様にけたたましく鳴く蝉の声。
これだから夏は嫌いだ。
「はぁー…。」
あとどれくらい続くか分からない
この時間に誰にも聞こえない程の
ため息をそっと付いた。