繊細な言葉が零れ落ちる度に何かを訴えかけられているようで、ページを捲る度に胸が絞られた。紫苑の言っていた『苦かったけど、つらくはなかった』。感情移入をここまでさせられるとは思いもしませんでした。彼女の葛藤が痛い程わかって……辛くはないけれど、とても苦い。そんな味が今、胸いっぱいに広がる。けれど私は知っています。その中に新しい幸せの隠し味があることを
『終わりと始まりの握手』
綺麗な響きだな、と心に温かい光が灯る。一枚一枚ゆっくりページを捲っていくその指は震えた。けれど冷たい心は最後、紫苑の姿勢とこれから向かう世界への光に溶かされ、じんわりと熱くなった
理想と現実は違う。けれど、自分で変えようとすれば何度だって変えられる。そんなメッセージも詰め込まれているような気がしました
夏に終わって、夏に始まる
あの夏を多少は引きずるかもしれない
けれど、あの夏はもう、終わるから
だから、さよなら