追放された公爵令嬢、隣国で成り上がって全てを見返す
003
ポロネイア王国とバーランド王国を繋ぐ国境の関所。
そこに、ペトラは馬車で運ばれてきた。
荷物は数日分の携帯食のみ。
金銭や宝石の類は一切ない。
服も煌びやかなドレスではなくなった。
今では庶民的な黄ばんだ布の服を着ている。
絶世の美女と謳われていた頃の面影は残っていなかった。
「忘れ物はないな? 後で思い出しても取りに戻ることはできないぞ。そなたは国外追放の身。二度とポロネイア王国には入国できぬ」
「はい、大丈夫です」
「ではさっさと進め」
関所を通ってバーランド王国の国土へ向かう。
そんな彼女に、1人の兵士が話しかけてきた。
無精髭を生え散らかした男だ。
彼はポロネイア王国に属する関所の兵士を仕切る兵長である。
「ポロネイア王国に戻りたくないか?」
「そんなことができるのですか?」
男は「できるさ」とニヤリ。「ただ、ここは人の目があって話しづらい。詳しく知りたいならついてきてくれ。その方法を教えるし、手助けもしよう」
ペトラにとって、男の提案は僥倖だった。
バーランド王国でどう生きようか途方にくれていたからだ。
ポロネイア王国であれば、多少は勝手が分かる。
だからペトラは、縋るように男の後ろへ続いた。
そこに、ペトラは馬車で運ばれてきた。
荷物は数日分の携帯食のみ。
金銭や宝石の類は一切ない。
服も煌びやかなドレスではなくなった。
今では庶民的な黄ばんだ布の服を着ている。
絶世の美女と謳われていた頃の面影は残っていなかった。
「忘れ物はないな? 後で思い出しても取りに戻ることはできないぞ。そなたは国外追放の身。二度とポロネイア王国には入国できぬ」
「はい、大丈夫です」
「ではさっさと進め」
関所を通ってバーランド王国の国土へ向かう。
そんな彼女に、1人の兵士が話しかけてきた。
無精髭を生え散らかした男だ。
彼はポロネイア王国に属する関所の兵士を仕切る兵長である。
「ポロネイア王国に戻りたくないか?」
「そんなことができるのですか?」
男は「できるさ」とニヤリ。「ただ、ここは人の目があって話しづらい。詳しく知りたいならついてきてくれ。その方法を教えるし、手助けもしよう」
ペトラにとって、男の提案は僥倖だった。
バーランド王国でどう生きようか途方にくれていたからだ。
ポロネイア王国であれば、多少は勝手が分かる。
だからペトラは、縋るように男の後ろへ続いた。