追放された公爵令嬢、隣国で成り上がって全てを見返す
「やめてください!」

慌てて男の手を振り払うペトラ。

今まで穏やかだった男の表情が一気に険しくなる。

「此処で俺にご奉仕すれば国外追放を免れるんだ。悪い話じゃねぇだろ。どうせ王子様には何度もやってきたんだろ。それに他の男にだってやったんだろ。だからお前はここにいるんだ。今さら淑女ぶってんじゃねぇよ」

「違います!」

ペトラは男を弾き飛ばし、人の多い表通りに向かう。

「捕まえろ! 逃げようとしているぞ!」

彼女の背後から、兵長の声が響く。

周辺の兵士達が気づき、ペトラは瞬く間に捕まった。

「世の中を甘く見やがって。いつまで貴族のつもりでいるんだよ」

兵長はペトラの前に立つと、思いっきりペトラの頬をぶった。

「お前はもう公爵家の人間じゃない! ただの平民だ! 自覚しろ!」

兵長はペトラの胸ぐらを掴みながら怒鳴る。

それから「追放しろ」と部下の兵士に命じた。

「二度と戻ってくるんじゃねぇぞ。俺達はお前の親父が大嫌いなんだ」

ペトラはバーランド王国側の門まで連れて行かれ、投げ捨てられる。
< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop