小悪魔王子に見つかりました
はじめまして寧衣くん
あの日から、自分は向こう側の人間ではないのだと気づいた───。
中1の9月。
『ねぇ〜姫茉ってさ、最近調子乗ってない?』
『あーそれ私も前から思ってた!』
女子トイレで、仲の良かったグループの子たちが、私の悪口を言っているのを聞いた日。
それから、徐々に変わっていったと思う。
『隆一くんと隣の席になったあたりからだよね〜』
『そうそう。前からちょっとぶりっこだなとは思ってたけどさ〜』
クラスメイトとして心を許していた、友達だと信じて疑ってなかった子たちの口から発せられる、
止まらない私の悪口。
個室のトイレで息を潜めながら、手足が震えて。
みんなの声を聞きながら、涙が止まらなくて息が苦しくて。
好きだったみんなに、私はずっとそう思われてたんだと怖くて。
みんながトイレを出てからも、バクバクと動悸が止まらなかった。
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