小悪魔王子に見つかりました
少し驚いた表情で振り返った寧衣くんと、視線が絡んで、また大きく胸が鳴る。
「あの、えっと……これっ!!」
背負っていたリュックのポケットから、羽芽ちゃんからもらった招待券を取り出して。
腕を伸ばして彼に差し出す。
「えっ……」
「さっき、羽芽ちゃんからもらって……」
「羽芽から?」
「……うん。2人分。もし、寧衣くんさえ良ければ……わ、私と行ってくれないかな?」
きっと今の私は耳まで真っ赤だ。
自分から誘うなんて恥ずかしいし、断られたら死ぬほど気まずいって思うけど。
そんな気持ちよりも、
このチャンスを逃したくないって思っている自分がいるから。
ギュッと目を瞑って。
寧衣くんに受け取ってもらえるかビクビクしながら待っていたら。
チケットを持っていた私の手が優しく暖かい何かに包まれた。
「……行く」
「えっ、」
「行きたい!浅海さんと水族館」
顔をあげた瞬間、私の目を見てはっきりと、寧衣くんがそう言った。