小悪魔王子に見つかりました
「ごめんね、寧衣くん。恥ずかしいところ見せちゃって」
「なんで謝るの。全然恥ずかしくないし。さっきの浅海さん、すっごくかっこよかったよ」
「え、」
カッコいい寧衣くんにカッコいいと言われてしまうなんて。
「そばから離れてごめんね。一人でちゃんと気持ち伝えた浅海さん、偉かったよ」
「寧衣くん…」
まったく怖くなかったといえば嘘になるけど、寧衣くんからもらったたくさんの言葉があったから、一歩踏み出せた。
でも、寧衣くんが戻ってきてくれたってわかった瞬間、どうしようもなく安心して。
よかったって思えたから。
「よく頑張ったね」
そう言って私の手をその綺麗な手で優しく包み込むから。
泣きそうだ……。
「寧衣くん……」
「ここじゃゆっくり落ち着けないから……浅海さん、まだ時間ある?」
彼のその言葉に、私はゆっくり頷いた。