小悪魔王子に見つかりました


「ほら、言わないとやめないよ?」

「……っ?!」

彼の唇が肌をなぞって。 

ギュッと瞼や身体に力が入る。

『イヤ』
フリでも、その言葉が出てこない。

イヤじゃないって思っている自分がいるから。

むしろ、このまま寧衣くんに身を任せたらどうなってしまうんだろうと思ってしまう。

知りたいって。

「浅海さん」

「っ、寧衣くん、それ、くすぐった───」

「……だから、拒んでよ」

いつも優しい寧衣くんの口調が、わずかにキツくなった気がした。

声も低くくて。

私の手首を固定する彼の力も強くなって。

なんだか、いつもの寧衣くんじゃないみたいだって。

そう思った瞬間、お腹にひんやりと空気が入り込んだかと思えば、

「っ、」

素肌に長い指が触れた。

これって……。

「ね、寧衣くん……」

「そんなんじゃ全然効かないよ」

彼の声に、少し突き放すような冷たさを感じて、胸がギュッとなる。

こんな寧衣くん、知らない……。
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