小悪魔王子に見つかりました
「……っ、イヤ、」
「……」
小さく声を出したけど、彼の耳には届いていないのか、
私の肌に触れるのをやめてくれない。
その代わり、ふたたび私の首に顔を埋めて、今度は生々しい音まで響かせる。
その音がリビングに響いて恥ずかしい。
唇が触れて息がかかるたびに、電流が走ったみたいに身体がびくついて。
これ以上、触られたら……私……。
ダメだ、もっと、ちゃんと、言わなきゃ。
「……い、イヤっ。やめてっ!寧衣くんっ」
さっきよりもうんと大きい声を出して、服の中に伸びていた手を捕まえた。
と同時に目が合って、一瞬止まった空気が動きだす。
「あっ、ごめん……俺」
「……練習でしょ?」
寧衣くんは私のことを考えてこんなことしてくれた。
私が1人の時も今よりも強くなれるように。
だから謝る必要なんてないのに。
「……うん、そうだね。けど、今のはまだ少し優しすぎる、かな。本当になにかあった時は突き飛ばす勢いでね」
そういう寧衣くんは、普段の優しい印象が戻っていて。
ホッと安心する。
「突き飛ばす……」
「ん」
寧衣に身体を起こされて、私たちはソファに座り直したけど。
私の鼓動はずっとうるさいまま。