小悪魔王子に見つかりました
「なーに?」
「……っ、寧衣くんは、いいんでしょうか」
「当たり前でしょ。俺が浅海さんと食べたいって思って誘ってるんだから」
「……っ、」
どうして。
どうしてそんな優しい言葉をかけてくれるんだ。
彼の言葉に目頭が熱くなって慌てて俯く。
「へ、あ、今の気持ち悪かったかな?!嫌な思いさせてたらごめ──」
「ち、違います、そんなこと言われたの初めてだったので、嬉しくて……」
慌てだす寧衣くんの言葉を遮って誤解がないように答える。
彼の本当の気持ちなんてわからない、私のことをからかいたいのかも、そんなふうに思う気持ちも確かにあるけれど。
心のどこかで、彼には嫌われたくない自分もいて。
「ならよかった。じゃあ明日からよろしくね」
寧衣くんはそう言って私の頭に優しく手を置いてから、その場を後にした。