小悪魔王子に見つかりました

「寧衣くん、ごめんなさいっ、私……、その、授業、遅れちゃうと思って起こそうかと───」

キーンコーンカーンコーン

嘘でしょ。
なんてタイミングなの。

寧衣くんを遅刻させまいと、起こしたつもりなのに。
間に合わなかった。

私がトロトロしてたせいで。
あまりにも役立たずすぎる。

「……ご、ごめんなさい。その、……いつから起きていましたか」

「ずっと」

「へっ?!ず、ずっとって……」

それって、私と羽芽ちゃんの会話も聞いていたってこと?!

なら、『ふわふわ』あれも完全に聞かれていたってことだよね……。

そもそもなんで寝たフリなんて!

なんてことだ。

「ほんっとにごめんなさいっ!!」

「なんで浅海さんが謝るの……寝たフリして騙した俺の方が悪いのに」

「いや、でも、その、勝手に……触っちゃった、から」

「うん。どうだった?触ってみて」

「へっ……」

どうだったってどう言うこと……。

いや、勝手に触れてしまった私が何かを反論できる立場じゃないのだけど。

寧衣くんの問いかけの意味がわからなくて。
< 174 / 375 >

この作品をシェア

pagetop