小悪魔王子に見つかりました
「俺、浅海さんがわかんないよ」
「えっ……」
どちらかというとそれは私のセリフだ。
今日、なぜか調子が悪そうな寧衣くん。
羽芽ちゃんは不貞腐れてるだけだって言ったけど、何に対してそうなのか、わかんないから。
「……ゴールデンウィーク明けてすぐ、なんか俺のこと避けてるみたいだったから。
もしかして、あの日のことやっぱり嫌だったのかなって。ちょっと強引なことしちゃったから」
目を逸らしたままの寧衣くんの言う『あの日』を思い出して、一気に顔に熱が集まる。
「だから──」
私の手首を掴む寧衣くんの力がわずかに強くなる。
「嫌われたくなくて、適度な距離保とうってしてたのに、こんなことされたらさ、」
「……っ、」
そう言ってやっと顔を上げた寧衣くんと視線が絡み合う。
バクンッと大きく胸が跳ねて。