小悪魔王子に見つかりました

「寧衣、俺に怒ってるんでしょ。くじ、交換しなかったから」

「えっ……」

予想外の話の流れに、びっくりして寧衣くんを見てしまう。

交換ってど、どういうこと?!

「木野、待って。絶対それ今言うことじゃない。まじでちょっと一回黙って」

席に座ったままの寧衣くんは、机に肘をついて両手で顔を覆っていた。

「俺はなんとしても今回のリレー優勝しないといけないから」

「だから待って。いいからいったん空気読んで黙って」

寧衣くんのいつもと違う少し荒い口調。
けど、木野くんはそんなのおかまいなしに話し続ける。

「女子とペアで走ったらそっちに合わせることになるから自然とスピードが落ちる。だから寧衣には男子とペアで全力で走ってもらってそこで他のクラスと差をつけて欲しいと思った」

そして、木野くんはどうしてそんなにも優勝にこだわるのだろうか。

こんなに饒舌な木野くん、初めて見た。
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