小悪魔王子に見つかりました
「え、え、え、え、ちょっと待ってちょっと待って?寧衣、いつの間に……?!」
シンと静まった教室の空気を動かしたのは、寧衣くんの隣の席の井手上さんの声。
そりゃあ、びっくりするよ。
こんな正反対なふたりが話していたら。
というか寧衣くんも寧衣くんだ。
もっと人目につかないところで話すとかあったでしょうに。
『目立たず穏やかな生活をする』
これが今の私のモットーなのに。
これじゃ、女の子たちから恨まれちゃうよ。
井手上さんだって絶対いい気しないに決まってる。
「なになになに〜寧衣、女の子の趣味変わった?地味系に目覚めたか!」
続いて寧衣くんに声をかけてきたのは、これまたよく一緒にいるのを見かける、尾崎 昴くん。
金色に染められた短髪がよく似合っている彼は、
肩を組むように寧衣くんの肩に手をのばして少し冷やかすように笑っている。