小悪魔王子に見つかりました
とりあえず、早く酒井くんと連絡先を交換しなくちゃ……。
酒井くんの話の振り方が上手すぎて、なかなか本題に進めない。
私もつい、昔に戻ったみたいに教室で話していたときのように話しちゃうから。
「……酒井くん、その、連絡先」
酒井くんが、持っていた炭酸飲料に口をつけて。
会話が止まったわずかの間に、やっと言えた。
「ん、そうだそうだ、ごめんっ。浅海と会えたのマジで嬉しすぎて、話しすぎちゃった」
そう照れたように笑う酒井くん。
『嬉しすぎて』って、ほんとサラッというんだから。
こりゃ、相変わらず高校でもモテるんだろうな。
酒井くんがスマホの画面に自分のアカウントのQRコードを出してくれて、
そこに私のスマホをかざす。
「あっ、来た」
画面に表示されたバスケットボールの写真のアイコンと【ryu-ichi】という名前。
自分のスマホの中に、あの酒井隆一くんの連絡先が入っている。
ちょっぴりまだ信じられない気持ちだ。