小悪魔王子に見つかりました
寧衣くんへの気持ち
姫茉side
あっという間にやってきた日曜日当日。
中学の頃みんなの憧れだった彼と、休みの日にがっつりふたりきり。
誘われた日からずっと緊張しっぱなしだ。
今日の気温をスマホでチェックしながらクローゼットの洋服たちを眺めていると、一着のトップスが目に入った。
寧衣くんと水族館に行ったときに着た洋服。
……すっごく楽しかったな。
またいつか、今度はもっと寧衣くんと距離が縮んだ時に行けたら、そんなふうに思ったこともあったけど。
『よかったね』
そう言った寧衣くんの声色が忘れられない。
優しさの中に冷ややかさを感じてしまった。
私が欲張りになってしまっただけで、寧衣くんにとっては今まで通りのことだったかもしれないけれど。
それでも確実に、今の私と寧衣くんには距離ができてしまっている。
もうずっと、このままだったらどうしよう、なんて不安がよぎって。
ううん。
今の私に、寧衣くんのことで悩む資格なんてない。
酒井くんに会って、用事を済ませて、自分の中で過去の記憶にしっかりケジメをつけなきゃ。
話はそれからだ。
そう自分に言い聞かせてから、身支度に集中した。