小悪魔王子に見つかりました
今日に限って……。
「あら……」
目をパチパチさせて呆気に取られるような母さんの顔にため息が出そうになる。
「珍しいな、寧衣がそう膨れるなんて」
スマホを閉じた父さんが嬉しそうにそう言うのも意味がわからない。
「よし、わかった。邪魔して悪かったな。さ、母さん、俺たちは外で……」
父さんが俺の何かを察して、ソファーから立ち上がった瞬間、
母さんがいきなり、「はっ!」と、いいこと思いついたと言いたげな顔をした。
実に、嫌な予感。
「じゃあ、寧衣のおともだちも一緒に、お夕飯、いただきましょう!」
一体、なんの「じゃあ」なんだ。
聞いてた?俺の話。
「いや、母さん、あのね、」
父さんは俺の気持ちわかってくれてるみたいで、はしゃぎだした母さんをどうにかしようと声をかけるけど。
こうと決めたら絶対に譲らないのが母さんなのも、知っているから。
父さんは、俺と目を合わせて、申し訳なそうに笑った。