小悪魔王子に見つかりました
目線を上げると、私を抱きしめた羽芽ちゃんの背後に、寧衣くんが立っていた。
「もういいでしょ。ベタベタするの終わり」
「私にまで嫉妬しないでくれるか」
そう言いながら羽芽ちゃんが私から離れると、寧衣くんが「おいで」と私の手を取った。
そのまま体が椅子から離れて、あっという間に、すっぽりと寧衣くんの腕の中に収まった。
大好きなおひさまみたいな香りが広がる。
その瞬間、教室中からキャーという黄色い声がして。
「えええ!?まさかそう言うこと!?」
陽香ちゃんの声が響く。
どうしよう。
クラスみんなに寧衣くんと密着しているのを見られて顔に熱が集中する。
「俺と姫茉、付き合ってるから」
っ?!
まるで、和子ちゃんたち以外の生徒にも聞かせるような、寧衣くんの張りのある声に、ふたたび教室中がわき上がる。
寧衣くん!!みんなに言っちゃうの?!
いや、隠すことでもないことは分かっているけれど……でも……。
ほんの少し、人目を気にしてしまう。
絶対気に食わないと思っている子、いるもん。