小悪魔王子に見つかりました

「和子。初日でキスとか早すぎるから」

「うわ、そんな怖い顔しないでよ羽芽。付き合ってるんだからそりゃするでしょうよ」

「ダメ」

はっきりそう言った羽芽ちゃんを見て、言わなくてよかったと胸を撫で下ろす。

ほんと、寧衣くんには厳しいんだよな、羽芽ちゃん。

流石に、自分の口からそういう話をするのは恥ずかしかったし、よかった。

自分から、キスした、なんて言えるわけないよ。

実際、そう言うことをしたのはその一回だけで、そのあとは本当になにもなかったし。

昨日、寧衣くんのうちでご飯を食べることが決まって、

最初は急なことでものすごく緊張したけれど、

寧衣くんのおかあさんもおとうさんもすっごく優しくて。

寧衣くんが、私のことを「彼女」って紹介してくれて、もう幸せすぎておかしくなりそうだった。
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