小悪魔王子に見つかりました

「羽芽ちゃん、もしかして、寧衣くんのお兄さんと何かあった?」

っ?!

心配そうに私の顔を見る姫茉の瞳。

あぁ、こんなふうに心配されたくて誘ったんじゃないのに。

何やってんの私。

ごめんね。

「ごめんっ……えっと、実は、その、お兄さんの話しもしたくて、今日、みんなを誘ったんだ」

「えっ、お兄さんの話?」

みんながジッと私を見る。

「ごめん、姫茉のお祝いだって言いながら、こんな……」

「ううん!!そんな、たくさんお祝いしてもらったし、羽芽ちゃんが話したいことあるならなんでも話して欲しいよ、すっごく聞きたい、気になるっ」

「うん、そうだよ。羽芽が自分の話すること滅多にないし!貴重だよ!」

「話して!」

「ありがとう……」

テーブルの下で、ギュッと手を握る。

自分の恋愛の話を誰かにするなんて、あんまり得意じゃないけど。

姫茉や寧衣を見ていたら、私も踏み出さなきゃって思ったから。
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