小悪魔王子に見つかりました
「……最上朱耶くん。寧衣の4つ年上のお兄さんで、……わ、私の好きな、人」
恥ずかしくて死にそうだ。
自分で、『好きな人』とか……!
「えぇぇーーー?!?!」
私のセリフに、店内に響き渡る大きな声を出した。
「まっじか、」
「羽芽、好きな人いないって雰囲気だったから、」
「いやまぁ、言ってなかったから、そりゃね、」
「羽芽ちゃん……そうだったんだ……」
姫茉の真っ直ぐな瞳が私を捉える。
「……姫茉見てると、私も一歩踏み出さなきゃって思って。……その前に、みんなにも話しておきたくて。こんなことあんまり話す柄じゃないんだけどさ、3人には、私のこと知って欲しいなって……」
「なにそれ可愛すぎるな羽芽」
「やめて、かわいいとか言わないで。禁止」
和子の発言にビシッと突っ込む。
「ちょっと長くなるんだけど、聞いて、くれるかな、私の話」
少し声のトーンを落としてそういえば、みんながコクコクと静かに頷いてくれて、
私は、朱耶くんとはじめて会った時の話をした。