小悪魔王子に見つかりました
*
朱耶くんを初めて見たのは、中1の9月。
毎週火曜日の放課後、近所のコンビニで漫画を買うのが日課で。
ある日、そのコンビニに新しい店員さんがふたり入ってきていて、
そのひとりが、寧衣のお兄さんの最上朱耶くんだった。
多分、一目惚れ、だったと思う。
黒髪がよく似合う爽やかな好青年って感じで。
最初は、かっこいい人が入って来たなぐらいだったけど。
お店に寄って彼を見かけるたびに、
お年寄りのお客さんに丁寧にコピー機の使い方を教えながら手伝っていたり、
小さな子供にも優しく声をかけていたり。
そういうのを見ているうちに、見つけたら絶対目で追うようになって、
出来るだけ彼のレジに並んだりしたっけ。
彼にとっては大勢来店するお客さんのひとりであることはわかっているのに、
なんとか視界に入ろうと必死で。
そんななか、彼の名札に書かれた見覚えのある苗字を見て。
はじめて、自分から寧衣に話しかけた。