小悪魔王子に見つかりました
もともと同じクラスだったけど、話す機会なんてほとんどなくて。
でも、どうしても気になったから。
『最上くんってお兄さん、いる?』
『えっ、いるけど……なんで?』
『近所のコンビニで〈最上〉って苗字の店員さんがいたから、もしかしたらって』
『あー、それ俺の兄ちゃんだよ』
『はっ、やっぱり、そっか……!』
『最上朱耶って言うんだ』
初めて名前を聞いて、ドキンって大きく心臓が鳴ったっけ。
朱耶、くん……。
心の中で呼んで、胸がキューと締め付けられた。
きっと私より何個も年上の男性。
中学生の私なんて見向きもされないんだろう、関われないんだろう、そんな風にネガティブに思っていたからこそ。
同じクラスの男の子のお兄さんってだけで、距離がだいぶ縮んだ気がして。
私のその時の表情を見て、寧衣はすぐに私の気持ちを察してくれて、
『兄ちゃん、今は彼女いないよ』
って言ってくれた。
図星だった私はあからさまに『べつにそんなこと聞いてないけど?!』なんて強く言い返してしまったけど。
絶対顔赤くなってたし。バレバレだった。