小悪魔王子に見つかりました

『もしかしたら同じクラスだったりして。最上寧衣って、知ってる?』

知ってるもなにも。
私は彼に、あなたの話を色々と聞いていたのですよ。

『あっ、同じ、クラスです……』

『うわ、本当に?寧衣どう?クラスで』

『人気者、ですよ、みんなに優しいですし明るいし』

『そっかー、楽しんでるんだな』

雨を見たまま嬉しそうにそう微笑んだ表情があんまり優しかったから、

ジッと見つめすぎちゃって。

彼がこっちを向いた時に、バチっと目があった。

『改めまして。俺、最上朱耶って言います。寧衣の4つ上の兄です』

『はっ、いっ、井手上羽芽、です』

4歳差。

ものすごく、大人に見える。

同級生男子には絶対感じられない大人の落ちつきというんだろうか。

『へぇ、綺麗な名前だね。うめって漢字は、梅の花の梅?』

っ?!

突然、呼び捨てで下の名前を呼ばれて、心臓が大きく跳ねた。

不意打ちでそれはダメだよ……。
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