小悪魔王子に見つかりました
『うちの寧衣のこと、もらってくれない?』
『へっ……』
『なんてね』と笑った朱耶くんは冗談のつもりでそう言ったのかもしれないけど。
『寧衣にもし彼女ができるなら、羽芽ちゃんみたいないい子がいいなって』
思わず固まってしまった。
苦しくなった。
私のこと、寧衣にあげていいんだって。
さらに好きが増したのと同時に、
自分が思っているよりもずっと無謀な恋をしているんだって思い知った。
そうだよね……。
朱耶くんは、高校生。
やっぱり私のことなんて──。
そして、翌日の放課後、朱耶くんに傘を返そうとコンビニに入った時、
追い討ちをかけるかのように、あの出来事が起こった。
いつもいるはずの時間帯に、朱耶くんの姿がなくて。
仕方なく、勇気を出して別の女性店員さんに、朱耶くんのことを聞いた。
髪の色はずいぶんと派手めの、ちょっとサバサバしていそうな大学生ぐらいの人だったと思う。