小悪魔王子に見つかりました

「……羽芽ちゃん、すっごく素敵だね」

「へっ……」

自分の恋愛話を他人にするなんてこんな恥ずかしいことはないと、

3人の目を見て全然話せていなかったから。

姫茉の優しい声がして初めて顔を上げてはじめて、彼女が泣いているのに気付いた。

「なっ、姫茉なんで泣いてっ、しかも、全然素敵じゃないしっ、寧衣に散々ヘタレとかなんとか言いながら、私が1番ヘタレなわけだしさ……ハハッ」

じわじわと、私、全部話しちゃったんだって実感して、

火照った体をどうにか紛らわせようと、あんまいケーキを一口多めに頬張る。

「羽芽のその一途なところ!すっごく素敵じゃんか!姫茉の言うとおり!」

「うんうん!」

「……っ、」

いや、和子たちまで……。

「うん。今の話聞いて、羽芽ちゃんのこともっと好きになったよ。ありがとう、話してくれて」

「姫茉……」

自分のことはずいぶんと棚に上げるやつなんだなって、呆れられるとこなんじゃないの。
< 324 / 375 >

この作品をシェア

pagetop