小悪魔王子に見つかりました
「それに、木野くんは寧衣くんのことがすごい好きだよ。ずっと寧衣くんのこと話してるし」
「それはちょっとやめて」
「フフッ、良い友達だね」
「……ん。でも俺は姫茉がいちばん好き」
まだまだ言いたいことたくさんあるけれど、これ以上はかっこ悪いから。
彼女をふたたび抱きしめながら心の中で思う。
木野のいいところはたくさん知ってる、だから心配だった。
姫茉が仮に木野に惹かれたとしても、納得できる要素をたくさん持ってるからこそ。
友達だからこそ、悔しさがときには何倍にだってなるんだよ。
「寧衣くん、あの、そろそろ人目が……」
「あっ、ごめん」
すぐ離れるつもりが、一度触れると全然動けなくなってしまっていた。
なんだか、俺たち外でくっついてばかりな気がする。
主に俺がそうしているのだけど。
逆に外の方がいいのかも。
誰にも邪魔されない密室なんて。
それこそ、歯止めが効かない自信しかないから。
「帰ろっか」
「うん」
お互いの手を取って。
俺たちは歩き出した。