小悪魔王子に見つかりました
そして。
誕生日会の飾り付けや食事の準備がすべて終わって、みんなで木野くんたちが来るのを待っていると、
ついに、インターホンが鳴り。
玄関のドアを開けて、入ってきた木野くんたちを迎えようとしたら、
「わーーー!すっげぇー!!でけー!」
「翠、知ってる!こういうおうちのこと、旅館って言うんだよー!」
一緒に入ってきた木野くんの弟と妹の2人が、屋敷のあまりの広さに興奮を抑えられない様子で、
すぐに「おじゃましまーす!」と靴を脱いで中に入っていった。
すごいな……ちびっこパワー。
木野くんの「おい、望、翠!」と慌てて注意する声が長い廊下に響いたけど、
ふたりはもういない。
きっと何度か木野兄弟に会ったことあるっていう尾崎くんが見つけてくれると思う。
木野くんが「本当ごめん、うるさくて」と謝ったけれど、正直、今の私たちはそれどころではない。
木野くんの横に居心地悪そうに立つ人に目が離せないのだ。
まさかの人物に驚いて目を見開いていると、
「なんで酒井くんがいるの?」
寧衣くんが満面の笑みでそう聞いた。