小悪魔王子に見つかりました
「だから、男とふたりきりって何されるかわかんないから気をつけてってこと」
っ?!
「えっ……はっ、あっ、いや、」
寧衣くんの言葉の意味をようやく理解して、頭がプチパニックを起こす。
寧衣くんが私に何かそういうイタズラをするなんて、そんなことありえないのに。
「ね、寧衣くんは、私なんかになにもしないよ」
「なにそれ。わかんないよ」
「っ、」
突然、寧衣くんの左手が私の首の後ろに回って。
グッと身体を引き寄せられる。
彼の右手が、私の髪の束をすくって。
「へっ……」
その束に唇をあてて目線をこちらに動かした寧衣くんとバチッと瞳が重なった。
「……現に今、浅海さんにちょっと悪いことしたいって思ってるもん」
「そんな……」
「いい子だからしないけど。だからあんまり煽んないで」
寧衣くんはそう言って私の頭を優しく撫でてから、
「ほら、本当に遅刻になっちゃうよ」と私の手を取って、階段の方へと歩き出した。