小悪魔王子に見つかりました
朝日とそれによってキラキラと光る海。
「はあ……」
自然と幸福のため息が漏れる。
キャンプ場から徒歩30秒のところにある海辺。
その砂浜に腰を下ろせば、穏やかな波音が心地よくて心が落ち着く。
「……懐かしいな」
4つ年上の兄ちゃんとも、小学生の頃に一度、ふたりで自転車に乗ってここまで来たことを思い出してほっこりした気持ちになる。
今は一人暮らしを始めて大学生生活を楽しんでいるらしい兄ちゃんだけど、
中学の頃は全然。学校でいじめられていて、3年間引きこもりの生活をしていたことがある。
それを見ていたから、あの時の俺は兄ちゃんになにもしてやれなかったから、
その分、俺がこれから関わっていく人たちのことは、絶対そんなことで傷つけたくないと思った。
同じような苦しい思いをしてほしくない、みんなに笑ってほしいと。
だから、進級してクラスが変わる度に、良くない空気を作り出さないようにって、
自らムードメーカーのポジションを確立できるように徹底して。
高校2年になってからも、今までと同様、クラスで浮くような子ができないように、
常に周りを観察していた。
そして、浅海さんを見つけた。