ハツカフィルム
「まあ。その、大丈夫?」

「うん、大丈夫、元気だよ。心配かけてごめんね。」

「いや、僕は」

「それより、明日空いてる?久しぶりに遊びに行かない?」

それは思ってもみなかった誘いだった。
皐月と遊ぶのなんていつぶりだろうか。

「空いてる、いいよ。」

「やった!また明日連絡するね。午前中には起きててね!今日はそれだけ!お休み!」

そう言うと彼女は電話を切った。
通話終了の合図が部屋に響く。
その時間は何だかとても虚しかった。

これで本当に良いのだろうか。
僕は彼女に寄り添って上げられているのだろうか。
そんな思いが心の中で渦巻いて、その日はよく眠れなかった。
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