イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎

のんびりした話し方。

どこかで聞いたことのある声。

でも全然変わってないって面識はないはずじゃ。

恐る恐る顔をあげると、いつの間にか机の前で腕組みをして立っている専務がにやりと笑った。

あれ？　この顔どこかで見覚えがある。

あれ？　どこだっけ？　すごく懐かしい感じがする。

確かにこの人とどこかで……どこかで……。

「あ！」

「思い出したか？」

え？　でもどうして？　どうしてこの人がこんなところで専務やってるの？

「あの……もしかして……神谷先生ですか？」

「久しぶりだね」

専務はニヤリと笑った。

神谷専務は私が高校三年の時の数学の先生だったのだ。