イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
１８時１０分前に汐田課長が私を呼びにきた。

「専務が帰られるのでお見送りをします」

「はい」

汐田課長について専務室へと向かう。
そして専務の鞄を持って役員専用のエレベーターに乗る。
専務の車はすでに待機しており運転手が開ける後部座席に専務が乗ると、私たちは
一礼してお見送りするのだが、窓がスーッと開き私に手招きした。
汐田課長を見ると頷くので、車に近く。

「１時間後に迎えに来るから、この先の駅でまっていてくれ」

「あっ……はい」

そうだった。すっかり忘れていたが仕事が終わったら付き合わなければならなかった。
すると専務が私の心を読む様な目で見る。

「その目は忘れていただろ」

バレた？

「いえ」

私は首を横に振る。

「まあいい。とりあえず１時間後。遅刻は許さないからね」

「は、はい」

すると専務は窓を閉めた。
私と汐田課長は一礼してお見送りをした。
車が見えなくなると一年分ぐらいの疲れがどっと出た。
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