イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
掃除が終わり、秘書室に戻ると明日の専務のスケジュールの説明を受ける。
明日は朝から会議で昼は取引先との会食、午後からは2つの会議がはいっている。
私は引き続きデータ入力。

「外でお迎えをするのが通常だが専務の場合、朝はお出迎えなしという要望があるから専務室前でお出迎えをします。なのでそれまでに専務室の掃除や空気の入れ替えをたのみます」

「はい」

「それじゃあ、今日はもうあがっていいです。といっても約束があったね」

すると汐田課長がクスッと笑った。
初めて見る笑顔が素敵でどきっとしてしまう。
それにしても秘書室の人たちって女性もさることながら男性もイケメンが多い気がすると思うのは私だけだろうか。
特に汐田課長って最近見た韓国ドラマの俳優にすごく似ている。

「どうかしたか?」

「い、いえ……」

まさかかっこいいなんて言えるわけがない。

「ならいいが、もし専務に無理難題を押し付けられる様なことがあったら汐田にいいますよっていっていいかな」

「え?」

無理難題がどんなものかも想像できないけど汐田課長にいいつけると言えば引き下がるの?

「実は専務とは腐れ縁というか……高校の時からの付き合いなんだ」

「え? そうなんですか?」

ふとよぎったのは専務と課長の二人が颯爽と歩く姿だった。
きっとすれ違う女性たちは振り向かずにはいられないはず。

「だから誰よりも専務の扱いは得意なんだ。もし何かあればここに連絡くれ。といってもその必要はおそらくないと思うけどね」

う〜ん。
なんだかよくわからないけど……。
私は課長から名刺をいただくと、先に失礼した。
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