イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
自分のことばかり考えていて、自分がどう思われていたかなんて考えもしなかった。
だから専務の口から苦手と言われたのは衝撃的というか、ショックというか……。
いや、そうじゃない。
教師は生徒を平等に扱うものだと思い込んでいた。
でも今ならわかる。
教師だって人間だ。好き嫌いがあってもおかしくない。

「気を悪くしたら謝る」

「いえ……」

謝って欲しいという感情はない。
ただ、友人やクラスメイトに対しては気を使ったりしていたけど教師に対して気を使うことなどなかった。
そってかなり失礼だということを今になって思うなんて……。
専務のいう通り私は変わっていない。
年齢だけが高くなるだけで子供のままだ。

「でも今は違う。お互いもう大人で今は教師でも教え子でもない。だから俺も君を一人の女性としてみている。君も俺を先生としてではなく、一人の男として見てくれ。いいな」

え？　それってどういう意味なの？
もちろんもう先生でもないし、教え子と言っても数学を教えてもらっていただけで担任でも副担でもなかった。
急にそんなことを言われても……。
どう答えていいのか迷っているうちに車が止まった。
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